今回はシップナースの役割・仕事内容、年収はどのくらいなのか?
求人はどうやって探せばいいのか?
シップナースを目指している方のお役に立てる情報をご紹介いたします。
シップナースの年収は600~800万円程度と高水準になっています。日給ベースの場合は2~2.5万円がベースです。
船上という閉鎖空間で、24時間体制の緊急対応が必要なため、高い責任とスキルが求められる分、給料も高くなる傾向です。船上では、住居・食費・光熱費が不要のため、出費も抑えられるというメリットがあります。
シップナースは、医療者としての責任と判断力が試される現場で活躍できること、そして世界各地を巡りながら、多国籍な人々と関わる貴重な経験が積めることです。海を見ながら、お仕事ができる素晴らしい職です。
シップナースの求人は決して多くありません。ですので、常に募集が出ていないか、看護師転職サイト等をチェックするのが必要です。
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シップナースとは、クルーズ船や貨物船など船舶内で乗客や乗組員の健康管理、医療対応を専門とする看護師のことです。豪華客船旅行の増加やグローバルな海運業界の発展に伴い、国内外でシップナースの需要は高まり続けています。
この記事では、シップナースの仕事内容、給与の実態、求人の探し方、必要資格、キャリアの築き方までを詳細に解説します。
シップナースの仕事内容と日常業務
シップナースとは、船舶内で医療サービスを提供する看護師のことを指します。クルーズ船や貨物船などに乗船し、乗客や乗組員の健康管理や医療対応を行います。
以下に、シップナースの具体的な仕事内容と日常業務について詳しく解説します。
乗客・乗組員の健康管理
シップナースの主な役割は、乗客や乗組員の健康状態を維持・管理することです。具体的には、以下の業務が含まれます。
- 健康相談:乗客や乗組員からの健康に関する相談に応じ、適切なアドバイスを提供します。
- 定期健康チェック:長期の航海では、乗組員の定期的な健康チェックを実施し、早期に健康問題を発見・対処します。
- 予防接種の実施:航海先の地域に応じて、必要な予防接種を行います。
これらの業務を通じて、船内の全員が安全かつ健康に過ごせるようサポートします。
応急処置と緊急対応
船上では、医療施設へのアクセスが限られているため、シップナースは緊急時の初期対応が求められます。具体的な業務内容は以下の通りです。
- 応急処置:ケガや急病の際に、迅速かつ適切な応急処置を行います。
- 救急対応:心臓発作や脳卒中などの重篤な症状が発生した場合、医師と連携して救命処置を実施します。
- 医療機関との連絡:必要に応じて、次の寄港地の医療機関と連絡を取り、患者の受け入れ準備を依頼します。
これらの対応により、船内での緊急事態に備えています。
医療設備の管理と運用
船内の医務室には、限られた医療設備しかありません。そのため、シップナースは以下の業務を担当します。
- 医療機器の管理:レントゲン装置や検査機器などの管理・操作を行います。
- 薬剤の管理:必要な薬剤の在庫管理や、適切な保管を行います。
- 簡易検査の実施:血液検査や尿検査などの基本的な検査を行い、結果を医師に報告します。
これらの業務は、船内での医療サービスを円滑に提供するために不可欠です。
感染症対策と衛生管理
閉鎖的な環境である船内では、感染症の拡大リスクが高まります。シップナースは以下のような感染症対策を講じます。
- 感染症の監視:インフルエンザやノロウイルスなどの感染症の兆候を早期に発見し、対応します。
- 衛生指導:乗客や乗組員に対して、手洗いや消毒の重要性を啓発します。
- 隔離措置の実施:感染症が疑われる場合、該当者を隔離し、拡大を防ぎます。
これらの取り組みにより、船内の衛生環境を維持します。
(参考:【シップナース】こんな所にも医療者が!そもそも船上看護師って?)
健康教育と啓発活動
シップナースは、乗客や乗組員の健康意識を高めるための教育活動も行います。具体的には、以下の内容が含まれます。
- 健康セミナーの開催:栄養管理や運動習慣の重要性などをテーマにセミナーを実施します。
- 健康情報の提供:船内の掲示板やニュースレターを通じて、健康に関する情報を共有します。
- 個別相談:個々の健康状態や生活習慣に関する相談に応じ、アドバイスを提供します。
これらの活動を通じて、船内全体の健康増進を図ります。
乗船前の準備と下船後の業務
シップナースの業務は、乗船中だけでなく、乗船前後にも重要な役割があります。具体的には、以下の業務が含まれます。
- 乗船前の健康チェック:乗組員の健康状態を確認し、必要な予防接種や健康指導を行います。
- 医療物資の準備:航海中に必要となる医療物資や薬剤を準備し、適切に保管します。
- 下船後の報告書作成:航海中の医療対応や健康管理の状況を報告書にまとめ、関係者と共有します。
シップナースの仕事は、一般的な病院勤務とは異なり、船上という特殊な環境で医療ケアを提供することです。船内には医師が不在の場合もあり、緊急時の対応を含めて幅広い知識と臨機応変な対応力が求められます。
シップナースの年収 – 具体的な給与水準
シップナースの年収は、勤務する船舶のタイプや勤務地、契約内容、スキルによって異なりますが、以下のような給与水準が目安です。
- 国内クルーズ船のシップナース:500万円〜700万円
- 海外クルーズ船のシップナース:700万円〜1200万円
- 貨物船・漁船のシップナース:400万円〜600万円
特に海外の大手クルーズ会社では高収入や充実した福利厚生を提供することが多く、TOEIC700点以上の英語力やACLS資格など高度な資格を持っている場合には給与交渉が有利になります。
シップナースの給与水準は、雇用形態や勤務先、経験年数などによって大きく異なります。以下に、具体的な給与水準を詳細に解説します。
正社員としてのシップナース
大手クルーズ会社や船舶運航会社で正社員として雇用されるシップナースの平均年収は、約600万~800万円とされています。月給に換算すると約50万円程度となり、夜勤や残業がほとんどないことを考慮すると、好待遇と言えるでしょう。(参考: one-nurse-cmic.com)
契約社員・派遣社員としてのシップナース
契約社員や派遣社員として雇用される場合、給与は以下のようになります。
- 日給制:日給2万円~2.5万円程度が一般的です。この場合、月収は勤務日数により変動します。
- 年俸制:一部のケースでは、年俸650万円といった契約も存在します。この場合、月々約54万円が支給されます。
契約内容や勤務形態により、給与水準は大きく異なることがわかります。
海外クルーズ会社でのシップナース
海外のクルーズ会社で勤務する場合、給与は以下のようになります。
- 月給:約4,500米ドル(約57万円)
ただし、船内での生活費がほとんどかからないため、実質的な手取り額は高くなります。
生活費と福利厚生
シップナースは、乗船中の生活費がほとんどかからないため、貯蓄しやすい環境です。具体的には、以下の点が挙げられます。
-
食費:船内で3食提供されるため、食費は不要です。
-
住居費:船内のキャビンが提供されるため、家賃や光熱費がかかりません。
これらの条件により、手取り額以上の経済的メリットがあります。
5. 勤務時間と休暇
シップナースの勤務時間や休暇は、一般的な看護師とは異なります。例えば、4ヶ月間の乗船勤務後に2ヶ月の休暇が与えられるケースがあります。 このような勤務形態も、給与水準やライフスタイルに影響を与えます。
以上のように、シップナースの給与水準は多岐にわたり、雇用形態や勤務先、個人の経験によって大きく異なります。しかし、共通して言えるのは、船内での生活費がほとんどかからないため、実質的な手取り額が高く、貯蓄しやすい環境であるという点です。
シップナースになるために必要な資格やスキル
シップナースとして働くためには、最低限看護師免許(正看護師)が必須です。その上で、以下のような資格やスキルを持っているとより採用に有利になります。
- BLS(一次救命処置)資格
- ACLS(高度な心血管救命処置)資格
- 語学スキル(英語、TOEIC700点以上推奨)
- 病院勤務経験(特に救急外来、ICU、訪問看護などの経験)
英語スキルは特に重要で、外国籍の乗客や船員とコミュニケーションが取れるレベル(TOEIC700点以上)が理想的です。
シップナース求人情報の探し方と注意点
シップナースの求人は一般の求人媒体では見つけにくいことも多いため、以下の方法を推奨します。
- 看護師向け求人サイト(ジョブメドレー、レバウェル看護など)
- 船舶会社の公式サイト(日本郵船、商船三井、プリンセスクルーズ)
- 看護師専門の転職エージェントを利用
転職エージェントを使えば、非公開求人や好待遇の求人を紹介してもらえたり、書類選考や面接準備のサポートも受けられるため、シップナースを目指す方には特におすすめです。
【参考リンク】
シップナースとして実際に働いている人の体験談・口コミをご紹介
今回は、実際にクルーズ船でシップナースとして働いた経験を持つ、看護師・佐藤さん(仮名)の声をご紹介します。
世界を旅しながら看護師として働くという選択
「病院の中だけが看護の現場じゃない——」
そう感じ始めたのは、10年目の病棟勤務が一区切りを迎えた頃でした。
佐藤さん(仮名・40代女性)は、これまで急性期病棟を中心に看護師として働いてきました。そんな彼女が次に選んだ職場は、なんと“海の上”。大型クルーズ船に乗り込む「シップナース」としての道でした。
仕事内容は?——「病院とは違う、“なんでも屋”のような役割」
乗船中は、医務室での健康相談、常備薬の管理、乗客の体調不良やケガへの応急対応、そして時には急病人のトリアージまで、業務は多岐にわたります。
「乗客の方からは“ナース”というより“保健室の先生”のような感覚で頼られます。健康相談もあれば、頭痛薬を渡すこともあるし、骨折の初期対応をすることも。医師がいない便では、判断を下すのは自分です。」
特に大変だったのは、寄港先から遠く離れた公海上での急患対応。ある高齢の乗客が意識を失い、心肺蘇生が必要になった時は、衛星電話で陸の医師と連携をとりながら、彼女が中心となって緊急対応を行ったといいます。
メリットは?——「世界を旅しながら、人の命を守れる」
一方、シップナースの仕事には、他では得がたい魅力もあります。
「朝目覚めると、窓の外にはイタリアの港町。夜には、南太平洋の満天の星空。そんな環境で仕事ができるのは、やっぱり特別ですね。」
乗客や乗員との距離も近く、多国籍なクルーたちとの共同生活も良い刺激になったそうです。イベント救護で船内パーティに参加したり、自由時間に寄港地を観光したり、病院勤務とはまったく異なる日常が広がっていました。
気になる収入は?——「責任は重いけど、報酬も見合っている」
佐藤さんが乗務したクルーズ船では、契約期間3か月で月給は約50万円、加えて航海手当や食費・宿泊費も全額支給。
「現場では医療設備が限られていて、すべての判断を一人で下さなきゃいけない責任は本当に大きいです。でも、そのぶん報酬にも納得感がありますね。」
休暇は航海と航海の合間にしっかり取ることができ、長期で働いた後は1〜2か月のオフを取るスタイルが定着していたそうです。
最後に——「一歩踏み出すことで、人生は広がる」
「最初は本当に不安でした。でも今振り返ると、“病院では得られなかった看護の喜び”がたくさんありました。シップナースは、ただの転職ではなく、新しい生き方のひとつだったと思います。」
参考:船上の看護師―シップナースの仕事―(前編)| 病院外の看護現場探訪【3】
まとめ
シップナースは、病院勤務とは異なる特殊な環境で活躍する看護師であり、高収入や世界を旅するチャンスがあります。高い語学力や緊急対応スキルが求められる一方、その経験は国際的なキャリアを築く上で非常に有益です。求人探しには専門のサイトやエージェントの活用が有効であり、資格や経験を整えれば、シップナースとしてのキャリアをスタートできます。世界中を巡りながら看護のスキルを磨けるシップナースにぜひ挑戦してみてください。
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