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シップナースになるためには?その役割と年収、求人情報まで徹底解説【船舶医務室看護師を解説】

今回はシップナースの役割・仕事内容、年収はどのくらいなのか?

求人はどうやって探せばいいのか?

シップナースを目指している方のお役に立てる情報をご紹介いたします。

シップナースの年収は600~800万円程度と高水準になっています。日給ベースの場合は2~2.5万円がベースです。

船上という閉鎖空間で、24時間体制の緊急対応が必要なため、高い責任とスキルが求められる分、給料も高くなる傾向です。船上では、住居・食費・光熱費が不要のため、出費も抑えられるというメリットがあります。

シップナースは、医療者としての責任と判断力が試される現場で活躍できること、そして世界各地を巡りながら、多国籍な人々と関わる貴重な経験が積めることです。海を見ながら、お仕事ができる素晴らしい職です。

シップナースの求人は決して多くありません。ですので、常に募集が出ていないか、看護師転職サイト等をチェックするのが必要です。

看護師転職サイトの「ナース専科」ではシップナースも取り扱っている実績があります。

その他、看護roo!レバウェル看護」「マイナビ看護師」も掲載されていることがありますので要チェックです。

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シップナースとは、クルーズ船や貨物船など船舶内で乗客や乗組員の健康管理、医療対応を専門とする看護師のことです。豪華客船旅行の増加やグローバルな海運業界の発展に伴い、国内外でシップナースの需要は高まり続けています。

この記事では、シップナースの仕事内容、給与の実態、求人の探し方、必要資格、キャリアの築き方までを詳細に解説します。

  1. シップナースの仕事内容と日常業務(船舶医務室看護師)
    1. 乗客・乗組員の健康管理
    2. 応急処置と緊急対応
    3. 医療設備の管理と運用
    4. 感染症対策と衛生管理
    5. 健康教育と啓発活動
    6. 乗船前の準備と下船後の業務
  2. シップナースの年収 – 具体的な給与水準
    1. 正社員としてのシップナース
    2. 契約社員・派遣社員としてのシップナース
    3. 海外クルーズ会社でのシップナース
    4. 生活費と福利厚生
    5. 5. 勤務時間と休暇
  3. シップナースになるために必要な資格やスキル
    1. 1. 正看護師免許(日本国内の国家資格)(必須)
    2. 2. BLS(一次救命処置)資格
    3. 3. ACLS(高度心血管救命処置)資格
    4. 4. 語学力(英語、TOEIC 700点以上推奨)
    5. 5. 救急またはICUなどでの実務経験
    6. シップナースになるまでの流れ(フローチャート)
  4. シップナース求人情報の探し方と注意点
    1. ① 看護師専門の転職サイトを活用する
    2. ② 海運会社・クルーズ会社の公式採用ページをチェック
    3. ③ 看護師派遣会社の登録
    4. ④ 国際医療派遣や医療ボランティア団体
    5. 求人を探す際の注意点
      1. ① 募集頻度は極めて少ない
      2. ② 応募条件の確認
      3. ③ 契約条件・勤務環境の確認
      4. ④ 語学と文化適応力
    6. 3. 求人を見逃さないためのコツ
  5. シップナースとして実際に働いている人の体験談・口コミをご紹介
    1. 世界を旅しながら看護師として働くという選択
    2. 仕事内容は?——「病院とは違う、“なんでも屋”のような役割」
    3. メリットは?——「世界を旅しながら、人の命を守れる」
    4. 気になる収入は?——「責任は重いけど、報酬も見合っている」
    5. 最後に——「一歩踏み出すことで、人生は広がる」
  6. シップナースのよくある質問・Q&A
    1. Q1.シップナースになるには、どんな資格が必要?
    2. Q2.英語力はどの程度必要?
    3. Q3.求人はどこで探す?
    4. Q4.年収はどれくらい?実質の手取り感は?
    5. Q5.勤務シフトや契約期間は?
    6. Q6.海外クルーズで働く場合の追加要件は?
    7. Q7.日常業務は病院とどう違う?
    8. Q8.感染対策で特に重要なことは?
    9. Q9.応募時に準備しておく書類は?
    10. Q10.どんな人が向いている?
  7. まとめ

シップナースの仕事内容と日常業務(船舶医務室看護師)

シップナースとは、船舶内で医療サービスを提供する看護師のことを指します。クルーズ船や貨物船などに乗船し、乗客や乗組員の健康管理や医療対応を行います。

以下に、シップナースの具体的な仕事内容と日常業務について詳しく解説します。

乗客・乗組員の健康管理

シップナースの主な役割は、乗客や乗組員の健康状態を維持・管理することです。具体的には、以下の業務が含まれます。

  • 健康相談:​乗客や乗組員からの健康に関する相談に応じ、適切なアドバイスを提供します。
  • 定期健康チェック:​長期の航海では、乗組員の定期的な健康チェックを実施し、早期に健康問題を発見・対処します。
  • 予防接種の実施:​航海先の地域に応じて、必要な予防接種を行います。

これらの業務を通じて、船内の全員が安全かつ健康に過ごせるようサポートします。

応急処置と緊急対応

船上では、医療施設へのアクセスが限られているため、シップナースは緊急時の初期対応が求められます。具体的な業務内容は以下の通りです。

  • 応急処置:​ケガや急病の際に、迅速かつ適切な応急処置を行います。
  • 救急対応:​心臓発作や脳卒中などの重篤な症状が発生した場合、医師と連携して救命処置を実施します。
  • 医療機関との連絡:​必要に応じて、次の寄港地の医療機関と連絡を取り、患者の受け入れ準備を依頼します。

これらの対応により、船内での緊急事態に備えています。

医療設備の管理と運用

船内の医務室には、限られた医療設備しかありません。そのため、シップナースは以下の業務を担当します。

  • 医療機器の管理:​レントゲン装置や検査機器などの管理・操作を行います。
  • 薬剤の管理:​必要な薬剤の在庫管理や、適切な保管を行います。
  • 簡易検査の実施:​血液検査や尿検査などの基本的な検査を行い、結果を医師に報告します。

これらの業務は、船内での医療サービスを円滑に提供するために不可欠です。

感染症対策と衛生管理

閉鎖的な環境である船内では、感染症の拡大リスクが高まります。シップナースは以下のような感染症対策を講じます。

  • 感染症の監視:​インフルエンザやノロウイルスなどの感染症の兆候を早期に発見し、対応します。
  • 衛生指導:​乗客や乗組員に対して、手洗いや消毒の重要性を啓発します。
  • 隔離措置の実施:​感染症が疑われる場合、該当者を隔離し、拡大を防ぎます。

これらの取り組みにより、船内の衛生環境を維持します。

​(参考:【シップナース】こんな所にも医療者が!そもそも船上看護師って?)​

健康教育と啓発活動

シップナースは、乗客や乗組員の健康意識を高めるための教育活動も行います。具体的には、以下の内容が含まれます。

  • 健康セミナーの開催:​栄養管理や運動習慣の重要性などをテーマにセミナーを実施します。
  • 健康情報の提供:​船内の掲示板やニュースレターを通じて、健康に関する情報を共有します。
  • 個別相談:​個々の健康状態や生活習慣に関する相談に応じ、アドバイスを提供します。

これらの活動を通じて、船内全体の健康増進を図ります。

乗船前の準備と下船後の業務

シップナースの業務は、乗船中だけでなく、乗船前後にも重要な役割があります。具体的には、以下の業務が含まれます。

  • 乗船前の健康チェック:​乗組員の健康状態を確認し、必要な予防接種や健康指導を行います。
  • 医療物資の準備:​航海中に必要となる医療物資や薬剤を準備し、適切に保管します。
  • 下船後の報告書作成:​航海中の医療対応や健康管理の状況を報告書にまとめ、関係者と共有します。

シップナースの仕事は、一般的な病院勤務とは異なり、船上という特殊な環境で医療ケアを提供することです。船内には医師が不在の場合もあり、緊急時の対応を含めて幅広い知識と臨機応変な対応力が求められます。

シップナースの年収 – 具体的な給与水準

シップナースの年収は、勤務する船舶のタイプや勤務地、契約内容、スキルによって異なりますが、以下のような給与水準が目安です。

  • 国内クルーズ船のシップナース:500万円〜700万円
  • 海外クルーズ船のシップナース:700万円〜1200万円
  • 貨物船・漁船のシップナース:400万円〜600万円

特に海外の大手クルーズ会社では高収入や充実した福利厚生を提供することが多く、TOEIC700点以上の英語力やACLS資格など高度な資格を持っている場合には給与交渉が有利になります。

シップナースの給与水準は、雇用形態や勤務先、経験年数などによって大きく異なります。以下に、具体的な給与水準を詳細に解説します。​

正社員としてのシップナース

大手クルーズ会社や船舶運航会社で正社員として雇用されるシップナースの平均年収は、約600万~800万円とされています。月給に換算すると約50万円程度となり、夜勤や残業がほとんどないことを考慮すると、好待遇と言えるでしょう。(参考: ​one-nurse-cmic.com

契約社員・派遣社員としてのシップナース

契約社員や派遣社員として雇用される場合、給与は以下のようになります。

  • 日給制:​日給2万円~2.5万円程度が一般的です。この場合、月収は勤務日数により変動します。
  • 年俸制:​一部のケースでは、年俸650万円といった契約も存在します。この場合、月々約54万円が支給されます。

契約内容や勤務形態により、給与水準は大きく異なることがわかります。

海外クルーズ会社でのシップナース

海外のクルーズ会社で勤務する場合、給与は以下のようになります。

  • 月給:​約4,500米ドル(約57万円)

ただし、船内での生活費がほとんどかからないため、実質的な手取り額は高くなります。

生活費と福利厚生

シップナースは、乗船中の生活費がほとんどかからないため、貯蓄しやすい環境です。具体的には、以下の点が挙げられます。​

  • 食費:​船内で3食提供されるため、食費は不要です。

  • 住居費:​船内のキャビンが提供されるため、家賃や光熱費がかかりません。

これらの条件により、手取り額以上の経済的メリットがあります。

5. 勤務時間と休暇

シップナースの勤務時間や休暇は、一般的な看護師とは異なります。例えば、4ヶ月間の乗船勤務後に2ヶ月の休暇が与えられるケースがあります。このような勤務形態も、給与水準やライフスタイルに影響を与えます。

以上のように、シップナースの給与水準は多岐にわたり、雇用形態や勤務先、個人の経験によって大きく異なります。しかし、共通して言えるのは、船内での生活費がほとんどかからないため、実質的な手取り額が高く、貯蓄しやすい環境であるという点です。

シップナースになるために必要な資格やスキル

シップナースとして働くためには、最低限看護師免許(正看護師)が必須です。

その上で、以下のような資格やスキルを持っているとより採用に有利になります。

  • 正看護師免許
  • BLS(一次救命処置)資格
  • ACLS(高度な心血管救命処置)資格
  • 語学スキル(英語、TOEIC700点以上推奨)
  • 病院勤務経験(特に救急外来、ICU、訪問看護などの経験)

英語スキルは特に重要で、外国籍の乗客や船員とコミュニケーションが取れるレベル(TOEIC700点以上)が理想的です。

1. 正看護師免許(日本国内の国家資格)(必須)

概要
・日本でシップナースとして働くには、まず「正看護師」の国家資格が必須です。
・医療行為の実施、記録、薬剤管理など、船内でも同様の業務が求められます。

参考:日本看護協会「看護職の資格」

2. BLS(一次救命処置)資格

概要
・Basic Life Support(BLS)は心肺蘇生やAED使用など、緊急時の初期対応に必要な資格です。
・船上で医師不在の場合も多いため、BLSのスキルは迅速な対応に不可欠です。

米国心臓協会(American Heart Association):BLSトレーニングの公式情報を確認できます。

3. ACLS(高度心血管救命処置)資格

概要
・Advanced Cardiovascular Life Support(ACLS)は、心停止や重篤な循環器系の緊急対応を対象とした高度な資格です。
・船上での心肺蘇生時、陸上の医師と連携しながら対応できるスキルが重要です。

参考:日本ACLS協会公式サイトで、ACLSの研修内容や取得方法を確認できます。

4. 語学力(英語、TOEIC 700点以上推奨)

概要
・外国籍の乗客や乗組員とのやり取り、衛星電話による医師との連携など、英語でのコミュニケーション能力が求められます。
・TOEICスコア700点以上が目安とされており、実践的な会話力があると有利です。

参考:TOEIC公式サイト:TOEICテストの概要や目安スコアを確認可能です。

5. 救急またはICUなどでの実務経験

概要
・救急外来やICUなどの病棟で得た経験は、船上での緊急対応力や判断力を養ううえで非常に有益です。
・船内では医療設備も限られているため、幅広い臨床対応力が必要になります。

シップナースになるまでの流れ(フローチャート)

シップナースになるための流れ(縦型)

STEP 1|必須資格の確認
  • 正看護師免許(国内)
  • BLS/ACLSの受講計画を立てる
応急〜上級救命は船上の前提スキル

STEP 2|臨床経験を積む
  • 救急外来・ICU等で初療〜全身管理
  • トリアージ/薬剤投与/記録運用
少人数でも回せる“守備範囲の広さ”を養う

STEP 3|英語力を強化
  • 医療英会話(問診/説明/同意)
  • TOEIC 目安700+/英語履歴書の整備
海外案件は英語面接・英語書類が前提

STEP 4|海事要件・健康証明
  • (海外で求められ得る)STCW基礎安全
  • 船員健康診断(例:ENG1)/ワクチン
求人票の「必須資格・書類」を必ず確認

STEP 5|応募書類の準備
  • 履歴書/職務経歴(和英)・免許/BLS/ACLS
  • ワクチン履歴・パスポート/ビザ
和英テンプレを作り即提出できる体制に

STEP 6|求人サーチ&エントリー
  • 看護師求人サイトでキーワード保存+通知
  • クルーズ会社のCareersを巡回
希少&短期掲載。通知設定は必須

STEP 7|選考(書類/面接/実技)
  • ケース対応(救急想定)の受け答え
  • 英語面接/リファレンス提出
業務範囲と感染対策の理解を示す

STEP 8|オファー&契約確定
  • 期間/給与/保険/休暇/船員法の確認
  • 渡航・就労ビザの手配フロー
条件交渉はこの段階でクリアに

STEP 9|乗船前準備
  • 航空券/集合港手配・保険加入
  • 荷物(医務室規定/制服/書類)の確認
安全訓練・オリエンテーションの案内確認

STEP 10|乗船・勤務開始
  • 医務室引継ぎ/在庫確認/記録運用
  • 船内感染対策の徹底と教育
初航でルーチンを固め、改善を回す
補足:海外案件ではSTCW・ENG1等の指定がある場合あり。募集要項の「必須資格・書類」を要確認。

 

シップナース求人情報の探し方と注意点

シップナースの求人は一般の求人媒体では見つけにくいことも多いため、以下の方法を推奨します。

  • 看護師向け求人サイト(ナース専科、レバウェル看護など)
  • 船舶会社の公式サイト(日本郵船、商船三井、プリンセスクルーズ)
  • 看護師専門の転職エージェントを利用

転職エージェントを使えば、非公開求人や好待遇の求人を紹介してもらえたり、書類選考や面接準備のサポートも受けられるため、シップナースを目指す方には特におすすめです。

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① 看護師専門の転職サイトを活用する

  • 看護roo!・ナースフル・マイナビ看護師など、大手看護師求人サイトでは、時期によって「クルーズナース」「船舶看護師」などの特集ページが掲載されることがあります。

  • 求人件数は少ないため、「希望条件」や「職種キーワード」に**「船」「クルーズ」「シップナース」**を登録し、求人通知メールを設定するのが有効です。

② 海運会社・クルーズ会社の公式採用ページをチェック

  • **商船三井客船、日本郵船(飛鳥II)**など、日本発着クルーズを運営する企業が不定期に募集します。

  • 外航クルーズの場合は、Princess Cruises、Royal Caribbean、Carnival Cruise Lineなど海外の公式サイトも要チェック。

  • 英語力が必須条件になる場合が多く、応募は直接エントリー制です。

飛鳥クルーズ採用ページ:https://www.asukacruise.co.jp/
プリンセスクルーズ採用:https://www.princess.com/

③ 看護師派遣会社の登録

医療専門派遣会社では、短期契約のクルーズナース案件が出ることがあります。
例:ツクイスタッフ、パソナメディカルなど。

④ 国際医療派遣や医療ボランティア団体

海外航路や災害救援船での医療活動に参加する形で船舶看護師の経験を積む方法もあります。

例:**日本財団、Mercy Ships(米国)**など。

求人を探す際の注意点

① 募集頻度は極めて少ない

  • シップナースは人気かつ希少な職種のため、募集は年数回程度

  • 募集が出てからでは遅い場合があるので、常に情報収集を続けることが大切です。

② 応募条件の確認

  • 看護師免許だけでなく、救急・ICU経験、BLS/ACLS資格、英語力が必須の場合が多い。

  • 応募前に条件を満たしているか自己チェックが必要です。

③ 契約条件・勤務環境の確認

  • 契約期間(1週間~数か月)、給与形態(日給制・月給制)、乗船地、休暇制度などを必ず確認。

  • 海外航路では、国際医療保険加入やワクチン接種が条件になる場合があります。

④ 語学と文化適応力

  • 多国籍クルーや外国人乗客との生活になるため、医療英語だけでなく日常会話レベルの語学力が重要。

  • 異文化環境に柔軟に対応できる精神的な適応力も求められます。

3. 求人を見逃さないためのコツ

  1. 転職サイトで「シップナース」キーワード登録+メール通知設定

  2. クルーズ会社・海運会社の公式採用ページを毎月チェック

  3. 医療派遣会社に事前登録しておく

  4. SNSや業界フォーラムで情報交換(LinkedIn、看護師コミュニティ)

シップナースとして実際に働いている人の体験談・口コミをご紹介

今回は、実際にクルーズ船でシップナースとして働いた経験を持つ、看護師・佐藤さん(仮名)の声をご紹介します。

世界を旅しながら看護師として働くという選択

「病院の中だけが看護の現場じゃない——」
そう感じ始めたのは、10年目の病棟勤務が一区切りを迎えた頃でした。

佐藤さん(仮名・40代女性)は、これまで急性期病棟を中心に看護師として働いてきました。そんな彼女が次に選んだ職場は、なんと“海の上”。大型クルーズ船に乗り込む「シップナース」としての道でした。

仕事内容は?——「病院とは違う、“なんでも屋”のような役割」

乗船中は、医務室での健康相談、常備薬の管理、乗客の体調不良やケガへの応急対応、そして時には急病人のトリアージまで、業務は多岐にわたります。

「乗客の方からは“ナース”というより“保健室の先生”のような感覚で頼られます。健康相談もあれば、頭痛薬を渡すこともあるし、骨折の初期対応をすることも。医師がいない便では、判断を下すのは自分です。」

特に大変だったのは、寄港先から遠く離れた公海上での急患対応。ある高齢の乗客が意識を失い、心肺蘇生が必要になった時は、衛星電話で陸の医師と連携をとりながら、彼女が中心となって緊急対応を行ったといいます。

メリットは?——「世界を旅しながら、人の命を守れる」

一方、シップナースの仕事には、他では得がたい魅力もあります。

「朝目覚めると、窓の外にはイタリアの港町。夜には、南太平洋の満天の星空。そんな環境で仕事ができるのは、やっぱり特別ですね。」

乗客や乗員との距離も近く、多国籍なクルーたちとの共同生活も良い刺激になったそうです。イベント救護で船内パーティに参加したり、自由時間に寄港地を観光したり、病院勤務とはまったく異なる日常が広がっていました。

気になる収入は?——「責任は重いけど、報酬も見合っている」

佐藤さんが乗務したクルーズ船では、契約期間3か月で月給は約50万円、加えて航海手当や食費・宿泊費も全額支給。

「現場では医療設備が限られていて、すべての判断を一人で下さなきゃいけない責任は本当に大きいです。でも、そのぶん報酬にも納得感がありますね。」

休暇は航海と航海の合間にしっかり取ることができ、長期で働いた後は1〜2か月のオフを取るスタイルが定着していたそうです。

最後に——「一歩踏み出すことで、人生は広がる」

「最初は本当に不安でした。でも今振り返ると、“病院では得られなかった看護の喜び”がたくさんありました。シップナースは、ただの転職ではなく、新しい生き方のひとつだったと思います。」

参考:船上の看護師―シップナースの仕事―(前編)| 病院外の看護現場探訪【3】

シップナースのよくある質問・Q&A

Q1.シップナースになるには、どんな資格が必要?

日本の正看護師免許が大前提。加えて、**BLS(一次救命)やACLS(高度心血管救命)**など救急系トレーニングの修了があると実務で強いです。日本看護協会の資格体系と、日本ACLS協会の各コースを目安に準備しましょう。

参考:公益社団法人日本看護協会

参考:NPO法人日本ACLS協会 ガイド

Q2.英語力はどの程度必要?

多国籍クルー・乗客対応や、寄港地の医師と連携(テレメディシン含む)があるため、医療英会話の運用力が実質必須。目安としてはTOEIC L&Rで中上級(例:700+)を目標にすると安心です(テスト仕様の確認は公式参照)

Q3.求人はどこで探す?

国内は大手看護師求人サイトで「船/クルーズ/シップナース」などのキーワード保存&メール通知を設定。クルーズ会社の公式採用(例:飛鳥クルーズ海外大手のCareersページ)も定期巡回が有効です。

⇒ナース専科でシップナース求人を紹介してもらう

Q4.年収はどれくらい?実質の手取り感は?

会社・航路・契約形態で幅があります。公表が非公開の案件も多い一方、乗船中は住居・食費・光熱費がほぼ不要のため、実質可処分が高く貯蓄に回しやすいのが特徴です(募集要項に年俸や日給の提示有無・乗船中費用の取り扱いが明記されます)

Q5.勤務シフトや契約期間は?

例として飛鳥クルーズでは契約社員(年俸制・1年契約)、標準労働8時間・シフト制、船員法適用などが明示されています。海外案件もローテーション(乗船数か月+休暇)が一般的です。応募前に契約期間/勤務時間/休暇/保険を必ず確認しましょう。

参考:【キャリア登録】医務部(医師、看護師)

Q6.海外クルーズで働く場合の追加要件は?

会社や国により、**STCW(海上の基礎安全訓練)や船員用健康診断(例:英国のENG1)**などを求められる場合があります。募集要項の「必須資格・書類」欄で確認を。

Q7.日常業務は病院とどう違う?

少人数で外来~初療~記録~医務室運営まで一気通貫。薬品・機器の在庫管理、船内の感染対策・衛生教育、寄港地医療との連携も担当します。国内の現場レポートでも、幅広い守備範囲と判断力が要る仕事として紹介されています。

参考:船上の看護師―シップナースの仕事―(前編)| 病院外の看護現場探訪【3】

Q8.感染対策で特に重要なことは?

閉鎖環境なので手指衛生(標準予防策)の徹底が最重要。WHOのガイドラインも適切なタイミングの手指衛生が医療関連感染を大幅に減らすと明記しています。

Q9.応募時に準備しておく書類は?

和文・英文の履歴書/職務経歴書、看護師免許の写し、BLS/ACLS修了証、ワクチン接種記録、英語案件ならパスポート/ビザ関連、必要に応じてSTCW・船員健康診断の証明。海外大手は本社のCareersサイトで要件が細かく定義されます。

Q10.どんな人が向いている?

①救急・ICU等で初療~全身管理の経験がある、②多国籍環境でも臨機応変に動ける、③限られた資源で優先度判断ができる、④英語でのやり取りに抵抗がない人。これらが揃うほど採用・現場適応の確度が上がります。

まとめ

シップナースは、病院勤務とは異なる特殊な環境で活躍する看護師であり、高収入や世界を旅するチャンスがあります。

高い語学力や緊急対応スキルが求められる一方、その経験は国際的なキャリアを築く上で非常に有益です。求人探しには専門のサイトやエージェントの活用が有効であり、資格や経験を整えれば、シップナースとしてのキャリアをスタートできます。

世界中を巡りながら看護のスキルを磨けるシップナースにぜひ挑戦してみてください。

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